トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

I_dress_jpbs_tankace

職業のアイドレス 戦車エース

・南国人+学生+戦車兵+戦車エース

要点

・貴族的軍服・ゴーグル・喉当てマイク

周辺環境

・戦車

(イラスト:ながみゆきと)

戦車エース衣装デザイン

■戦車エース衣装デザイン開発秘話
藩王の腹心、利根坂凪巳(通称・坂凪)は、戦車エースの衣装デザインをどうするか、考えていた。
最終的には、高位南国人の衣装デザインで大活躍した壊和城夜(えなぎせいや)を大抜擢する事になる。
 
以下は、デザインの際の利根坂と壊和のやり取りを集録した映像である。
 

(イラスト:壊和城夜)
 
壊和城夜:あ、えーとどのデザインがよいですかね。動きやすさなら袖が細いのかな?
坂凪:左のかなーとか。
坂凪:右下のは結構ガキっぽいんで、ヒトラーユーゲントならぬながみ青年隊の制服として再利用(待
壊和城夜:再利用www
坂凪:やっぱり服飾関係はえなぎさんに任せてよかった。
壊和城夜:え、なして
坂凪:いや、ツボにすんなり入る
壊和城夜:そうかなぁ。記憶手繰ってるだけですけどね!w
坂凪:そういうものですw
壊和城夜:なぎーさんのキャラの顔絵って無かったっけ?
坂凪:これの南国人風、という以外には特にー
坂凪:目は目深に被った帽子で隠す、これくらいかな
壊和城夜:…ゴーグルは?
坂凪:首から提げるあたりで
壊和城夜:ういさー
壊和城夜:軍服なぎー(謎)
坂凪:ほいさ
壊和城夜:ざっと描いたからバランスがちょっと…
壊和城夜:あ、ゴーグルワスレタ
坂凪:見せてー
 

(イラスト:壊和城夜)
 
坂凪:うわ、何この、何w
坂凪:ありがとうw
壊和城夜:え?え? なに?何か変?
坂凪:いや、逆。すげーキマってる
壊和城夜:そうかー?
壊和城夜:帽子とかこんなんでいいのかとても不安w
坂凪:多分着てる職4とかによって変わるから大丈夫w
壊和城夜:あ、なるw
壊和城夜:あとマイクとゴーグルね
坂凪:ですな。
坂凪:バストアップで表現した方がいいかも>マイク・ゴーグル
壊和城夜:ですな。右側に描こう…
壊和城夜:時間掛かってすまんねぇ…
坂凪:いやいや、寧ろ発注からここまでこのスピードで。期待以上
壊和城夜:ヘッドセットって別に付けるの?一緒にした方がいい? 一緒ならイヤホン式にするけどもん
坂凪:ヘッドセットはー、通常戦車兵かー。や、そっちは文章の方で拾うぜ
壊和城夜:イヤホンいらない?
坂凪:イヤホン無いと音拾えないw
壊和城夜:あ、デスヨネー(アホ
坂凪:はははw
 

(イラスト:壊和城夜)
 
壊和城夜:まいくー
坂凪:うわーかっけぇ
壊和城夜:字が潰れて読みにくいな…
坂凪:ありがとう! ありがとう!
壊和城夜:おまけ
 

(イラスト:壊和城夜)
 
壊和城夜:かわいいなぎー氏
坂凪:SDwww
壊和城夜:どうだ参ったか!(謎)
坂凪:参りました(平伏)

戦車エースSS

「武功隔絶にて、以下の者をエースと認める。
公平誠実勇猛もて万民に仕えよ…… と」
「パクりはダメだっぺよー」
  式典用の台本作製中の軍帽と麦わら帽子 10108002
  
/*/

 昼下がりのながみ藩国、王宮の外れの訓練場にて、その式典は厳かに始められようとしていた……
  
 眼前に居並ぶのは藩国の重鎮。僕の後ろには、式典仕様に飾られた新婚号が隊列を為している。
 その先頭には開発段階だっていう新型の姿もあった。
 
 先の大戦を生き残ったこと、新兵の僕らが学校を卒して戦列に加わること、そしてもちろん新年を祝しての……
 まあそんな慶事が重なって、とにかく目出度いじゃないか、ということで催された式典だそうだ。
 専科に進んで真新しい戦車兵科の学生服に身を包んだ僕らに、首筋の6個穴の疲弊具合が歴戦を物語っている先生が嬉しそうに言ってた記憶がよみがえる。
 出席している学生は、普段の学生服ではなく、特別に支給された正式の軍服を身につけ、歩兵銃を縦に掲げている。戦車兵科であるが故に小柄な生徒が多いので、それでも馬子に無理矢理衣装を着せた感がぬぐえないのはご愛嬌だ。
 
「お、そろそろ始まるぜ?」
 ツレの言に前を向いてみると、なるほど、僕らに比して布地の多い服装の2人の男性が檀上の両翼に収まった。
 金色の髪に宛がわれた頭冠が藩政に携わる者を象徴している。 僕も、いつかあそこへ……
「興奮しすぎだ落ち着け野心家。それよりもうすぐ王様来るぜ」
 今代の藩王は暇があればふらりと田圃に来ては僕らに交じって農耕に勤しんでくれるあたり非常に親しみやすさがある。
 今日の式典も、両翼の摂政があれだけ着飾っているのだから、さぞ豪奢な格好なのだろう、と期待を寄せていた。
 
「ながみ藩王ゆきと殿下、登壇ー!」
 
 摂政が声を上げ、檀上に人影が現れたところでまず摂政二人がコケた。
 ああ、次いで閣僚も頭を抱えている。
 檀上の藩王に目を向けてみればなるほど…… 気持ちも分からなくもない。
 
「どんなときでもいつも通り、やっぱウチの王様頼れるよな」
 
 興奮しぎみの連れをさておいて、檀上に意識を向ける。
 藩王の農夫姿は、成る程滑稽を通り越して泰然さを引き出していた。とはいえ……
 
「摂政がコケるのも、判らないでもないなあ……」
 
/*/
 
「……だから、先のNW全土を巻き込む騒乱を、ウチ含めて全国欠けることなく乗り越えられたのはいいことだと思うっぺよ」
 
 檀上から成り行きを見守りつつ、そっとハロルドは嘆息を一つ。
 まあ、無事に式典が終わりそうなので何よりだ。いつもは農政について延々と語り出すはずの藩王演説も、今日は台本を固めておいたおかげでなんとか短く終われそうだ。
 
『続きまして、先の大戦の武功を賞して、藩王殿下よりお言葉を賜りたく思います』

 アナウンスのよく通る声――― 担当は壊和さんだったはず、に誘導されるように、軍服に身を包んだ数名が檀上に上がる。
 さらに後ろの学兵らと一線を画した豪奢な、ある種貴族的な軍服に身を包んだ彼らは、眼前に整列すると寸分の狂いなく敬礼を返す。
 
「ありがとう、君らが居てくれて、嬉しいっぺよ」
 
 ストレートな謝意とともに、胸に勲章を付けられていく。
 ―――傍から見て。軍の高官を思わせる人間が、農夫から勲章を貰ってる。
 という、知らぬものが見れば滑稽と断じるかもしれない情景は、とりあえず脳から外しておこうと思った。主に胃のために。
 
/*/
 
 ありていに言うと、そこまで武功を立てた、というわけではない。
 共和国軍としてみれば、割と足手まといの時期が多かった、のが実情だった。
 人の和が見せた、奇跡が如き逆転劇がなければ、まあここまで士気は上がらなかったんじゃないか。
 
 ……等と勲章を頂きながら思案を巡らせていた。
 そもそもこの勲章授与とて、士気高揚の為に、わざわざ設えた場だったか。と利根坂凪巳は苦笑する。
 あの時は何より大将が一番武功を上げていたはずじゃないか、との考えを飲み込みつつ眼前を向き直る。
 それでもまあ、こういう茶番は嫌いじゃないしなあ。たまにはこういう道化もいいだろう。
 
 と、しろ妃殿下が盆上にひとつの封書を持ってきた。
 従軍するに当たって、最初に書いた遺書だった。
 
『オーマとやりあうんだ、決死の覚悟の一つや二つ、ありますぜ』
 
 ……いやまあ、俺も若かった。
 しろさんからその封書を受取ると、くるりと聴衆に向きなおり、声を上げる。
 
「ながみ藩を護る軍人として皆様に申し上げ奉る。
 これより先、私が倒れることは、この国が倒れることと同義であるとの思いを胸に」
 遺書を高らかに上げる。
 
「生きて、皆と共に護国の為に身を砕き、骨を粉に、戦い抜くことを誓う!」

 もう片手を添え、勢いよく引き破る。
 
「公平誠実、勇猛を以て万民に仕えよ!」
 
 大将の号に会場は沸きあがる。
 やっぱ茶番だよなあと思いつつ、今の言に嘘は無い、と心中で改めて誓った。
 
 遠く、二機の新婚号の祝砲が聞こえる。
 
/*/
 
 味方はつがるおとめ4機小隊。敵は人型I=Dで8機程だったか。
 
「各機生きてるか!」
 
 僕は狭いコクピットの中で叫ぶ。
 
「なんとかなあ! ここで落ちたら恥ずかしすぎだろ!」
 
 軽口を叩けるのは天性の才覚か…… いや、これがシミュレータで、正しく命の危険があるわけではないからだろう。
 かといって軽口で戦況が変わるわけではない。
 ここで落ちても藩国の明日は大丈夫だが、明後日がどうなるか分からない。
 それは僕らの護るべき明後日だ。
 
「……つか、無理だろアレ!」
 興奮しやすいツレを宥めながら、シミュレータを降りる。
 市街地に侵入した敵機の撃墜、という比較的簡単なはずの作戦だった、
 が、蓋を開けてみれば簡単に防衛目標に達成されてしまい、こちらの敗北。
 撃墜目標のうち、2つを落とせたに過ぎない。こっちの防衛網をあっさり抜かれて、それでおしまいだった。
 
「まあ、そう悲観するもんじゃないさ」
 
 担当教官が笑いながら寄ってくる。後ろには、ああ先日の式典でも見た顔が並んでる。最新鋭の喉当てマイクにゴーグルを首に掛けた出で立ちだった。
 
「確かにつがるおとめは非力だ。が足はある。小回りも利く」
 
 そう言って促すと、教官の後ろにいた4人がシミュレータに入っていく。
 
「市街地戦なら相手の足は遅くなる。だが、それを散漫に迎撃していたんじゃ、負けるのは必定だ」
 
 シミュレータが起動し、4機のつがるおとめがディスプレイ内に立ち上がる。
1機が高く跳びあがり、着地を終える頃には残りの3機が走り出す。
 そこからの展開は圧倒的だった。敵が市街地に入り、散開し始める前に3機による集中砲火。
 敵機3機を破壊したところで散開されるが、それを見越したかのようにつがるおとめも2機ひと組に散開。
 市街地を所狭しと飛び回り、着実に2機の集中砲火で落としていく。ARカウントが下がるに従ってその攻撃は苛烈さを増す。
 そして、結果はといえば……
 
「被害0、7機を撃墜したところで撤退開始、大勝利ですか……」
 
 流石は前大戦の生き残り……と感嘆すると同時に、僻みが生まれる。
 
「自分たちより戦場を経験してりゃ、そりゃ当然、てか?」
 
 シミュレータから出てきた男が声をかけてくる。帽子を目深にかぶって表情は伺えないが、嘲笑しているに違いない。
 
「やらんとならんことがあったから強くなった。ただそれだけだって」
「ですが……っ!」
 
 僕が言葉に詰まると、帽子の人は事も無げに続けた。
 
「それに俺らも、実戦経験は大概だからなあ?」
 
 後ろの3人に同意を求めるが、苦笑されるに終わっている。
 そして僕も、それは嘘だろうと思った。
 何せウチの教官とは比べ物にならないほど、ウォードレスコネクタ周りの疲弊が激しかったから。
 
「お前らには期待してんだ。この国の明日を護るのは俺達だが、明後日を護るのは、たぶんお前らだ」
 
 ……不意に、シミュレータの中で考えてたことを思い出した。
 この人も僕も、思いは一つか。
 
「僕も…… 貴方達みたいに、なれますか?」
 
 口を衝いて出た言葉は、普段の僕からすれば少々弱気だったのかもしれない。
 
「ああ、なれるさ。俺もお前も、ただの人間だからな。もしかしたら、俺よか強くなるかも知れんぜ?」
 
 軍帽の人の言葉に苦笑する。
 それは伝説。寝物語に伝えられるお伽噺。
 それはただの人から生まれ、心に誓ったことの為に、ただの人であることをやめた存在。
 
 その名は ―――“エース”

(SS:利根坂凪巳)

戦車エースの誕生

 
 ながみ藩国の主力兵器と言えば、人型戦車である。
 つがるおとめ(※1)に始まり、新婚号(※2)、上田虎雄号(※3)そして現在開発中の蜜月号(※4)と数多くの人型戦車を開発、保有している。
 人型戦車の開発では、テラ領域(※5)で共和国、帝國を問わず文句無くトップであろう。
 これはそれら人型戦車に乗る、戦車兵たちの成長の記録。その一幕。
 
/*/
 
 最先端を行くながみ藩国の人型戦車であるが、それに乗るながみ藩国の主力職業である戦車兵たちは最後端を走っていた。
 その能力は戦いの一線を担うには、あまりにも低い。
 戦車を扱うものにとって最も重要視すべき能力「感覚」は、ただのドラッガーと同等(※6)。
 戦場の中心になることはおろか、生き残ることすら怪しい。
 彼らには、ながみ藩国の戦車は最高だという、思いがある。
 ながみ藩国の戦車は負けない。負けるようには作られていない。
 
 負けるとしたら、それは…。
 
/*/
 
 戦車兵の最大の財産は、経験である。
 学生をかねるながみ藩国の戦車兵は毎日の訓練を欠かさず、出撃するたびに新たな経験を積んだ。
 膨大な経験を積んだベテランの戦車兵は、時に未来を見る。
 戦場においては一本の光の線が見え、それをたどるだけで戦場を支配できるという。
 ながみ藩国の戦車兵たちはその領域を目指して、日々経験を積んでいた。
 
/*/
 
 その瞬間は突然だった。
 彼らの経験が、花開き実を結んだ、瞬間だった。
 
/*/
 
 最後の戦い。
 ながみ藩国の新婚月兎部隊は、白いオーケストラの戦場(※7)からニューワールド、彼らの故郷へ呼び戻された。
それは、帰る場所を守るための戦い(※8)だった。
 大部分の戦力を宇宙へ派遣したNW軍は、残った戦力で厳しい戦いを強いられていた。士気は崩壊しかけ、敵は見つからない。
 そして、敵が見つかったときには全てが遅かった。
 一度は、物語が終わったかに見えた。
 
 それでも、諦めなかった。
 希望は、まだそこにあった。
 
/*/

(イラスト:ながみゆきと)
(※イメージ映像です)
 
 ネコリスの力を借りた新婚月兎部隊は、ニューワールド全ての希望を背負い、時すら越えた。
 思えば、全てはこの時のためだった。
 日々つらい訓練を自分に強いてきたのも。
 戦場で死にかけたのも。
 出番がないと嘆いたのも。
 
 この時のためにあったと言えば、それは楽しい思い出だった。
 
 ながみ藩国の戦車兵たちは、3000もの橙オーマの軍勢を相手に、たった11機で戦闘を開始した。4機のつがるおとめが先陣をきり、それに新婚号7機が続く。
 絶望に立ち向かうのは、無数の希望を背負った「ただの」戦車兵たち。

 そのはずだった。
  
/*/
 
 それは、うさぎと乙女が舞う、美しいダンスだった。
 舞い上がる炎と無数に響く砲声に彩られ、華麗なステップを踏む。
 
 それは、うさぎと乙女を駆る戦車兵たちが「エース」となった瞬間だった。
 炎を舞い上がらせ、無数に砲声を響かせ、華麗なステップを踏ませる。
 
 人型の戦車が、まるで本当の人のように滑らかに動き、舞う。
 9メートルもの巨人が動き回っているのに、そこには地響きはなく、ほこりすらまわない。
 
 それは乙女とうさぎが、かがり火とリズムを取る音の中、月面で戯れている様にしか見えなかった。
 
/*/
 
 彼ら「エース」が見る世界は、常人には見えない世界。
 たったひとつの光り輝く線だけを追い、戦車を踊らせる。
 
 彼ら「エース」が舞った後には「日常」が待っていた。
 
/*/
 
 かくして、ながみ藩国の戦車兵たちは「エース」へと覚醒した。
 平均撃破数は1機あたり270強、それもオーマ相手にである。
 
 日々積んだ経験が、極限の状況で彼らの本当の力を引き出した。
 
 ながみ藩国の戦車兵たちはこの後「戦車エース」として、物語上で語られることになる。
 
/*/
  
 ながみ藩国史「戦車兵の記録」より各文抜粋
 
/*/
 
 以下、プレイヤー向け注釈
 
※1 つがるおとめ:ながみ藩国の記念すべき最初の人型戦車。イグドラシル「人型戦車の開発(イベント)」により所得。詳細は→http://sakanagi.sakura.ne.jp/idress/idwiki/wiki.cgi?page=I%5Fdress%5Fmantank
※2 新婚号:ながみ藩国製複座型人型戦車。イグドラシル「複座型人型戦車の開発(イベント)」により所得。詳細は→http://sakanagi.sakura.ne.jp/idress/idwiki/wiki.cgi?page=I%5Fdress%5Ftandem
※3 上田虎雄号:人型戦車光焔号の改造機。厳密に言うとI=D。イグドラシル「上田虎雄号(I=D)」より所得。詳細は→http://sakanagi.sakura.ne.jp/idress/idwiki/wiki.cgi?page=I%5Fdress%5Ftiger
※4 蜜月号:ながみ藩国で現在開発中の複座型人型戦車対空仕様。イグドラシル「「複座型人型戦車対空仕様の開発(イベント)」により所得予定。
※5 テラ領域:NWの中でも、プレイヤー達の藩国があるオリオンアームとかいう銀河の中の、その辺境。私達が住んでいる宇宙の地域のこと。
※6 ドラッガーと同等:ながみ藩国の「南国人+学生+歩兵+戦車兵」の感覚評価値は2。ドラッガー単体とまったく同じ。

(設定文:たんばの)

戦車エース誕生の真実

 と言うわけで、愛と笑い成分が足りないので続きを書いてみた。
 こっちが本当の物語。
 
/*/
 
 ……上記がながみ藩国が対外的に発表している、戦車エース誕生にまつわる物語である。
 しかし、ここには真実はほとんど語られていない。
 真実は他国に語るには、あまりに情けない。
 それは、まさにながみ藩国的と言わざるをえない、ながみ藩国内でしか笑えない話であるからだ。
 真実は、時に残酷である。
 
/*/
 
 ながみ藩国の人型戦車は、最新型である。人型戦車としては。
 人型戦車には、その移動をAR1で行えるという、驚異の特殊能力がある。
 しかし、最大ARは10。ウォードレスを着こんでも12。
 人型戦車の出番が回ってくる頃には、大概の戦闘は終わっている。
 中には、機械の動きを止めるような敵もいる。
 一応出番があったノワールの戦い(※9)では、敵を倒すことなくつがるおとめ6機が倒され、藩王を含む国民は死に掛けた。
 ながみ藩国の出番は永遠に来ないと、誰もが思い始めていた。
 
/*/
 
「人型戦車、使いづらい」
「出番がない」
「出番をください」
「まあ、出番なくてもいいんじゃない。何事もない平和が一番」
 
                         ながみ藩国国民の会話 アイドレスシーズン1終盤
 
/*/
 戦車兵たちは、だらけていた。
 訓練もほとんどやっていない。
 戦闘はホープ君たちのほうが強いんだからそっちに任せればいいよ、と藩王について農作業をやってるような人たちがほとんどであった。
 それでも一応出られる戦いには部隊派遣して、また出番なしかーと結局皆でだらけていた。
 そしてながみ藩国が最後に参加する予定であった戦闘「白いオーケストラ再び」でもいいところなし。
 敵の前に出て、根源力が足りずにすぐ引き下がっただけであった。
 
「あーあ、終わっちゃったね」
「まあ、戦いには勝てたんだからイイジャナイ」
 
 次の「帰る場所を守るための戦い」には、もう出られない。
 ながみ藩国の戦闘は終わったかに見えた。
 
/*/
 
 それがあんなことになるなんて、ながみ藩国国民はおろかNW中の誰一人、全然まったく思ってもいなかっただろう。
 
/*/
 
「新婚月兎部隊!GO!」
 
 最後の最後、今まで出番なし、いいとこあるわけなしのながみ藩国の部隊がついに大舞台に立った。
 黄金の角笛(※10)で白いオーケストラの舞台から呼び戻され、さらにはネコリスに導かれて時をも越えて。
 撃墜数0、訓練は(一応)やってきたが、実戦経験はほとんどない。
 そんな部隊が、アイドレスプレイヤー全ての希望を背負って、橙オーマ3000に相対した。
 
「いやー、信じられねぇ。なんだこれ」
 
 とは、ながみ藩王の弁である。
 その時は、国民全員がそう思った。
 
/*/
 
 しかし、何とかなるものである。
 戦い始めるまで、震えの止まらなかった戦車兵たちの手は、ながみ藩王の痛々しいまでの戦闘開始合図(※11)でぴたりと止まった。
 戦車兵たちの顔に、笑顔が戻ってきた。
 ながみ藩国は、舞台に立った。
 全てに日常を、愛と笑いを取り戻すために。
 その振るった力のほとんどは、他のプレイヤーからの応援の力であったが。
 なんとか、やることはやった。
 そして、アイドレスの命運を司るダイス神であるmihaの力をも味方につけ、全ての敵を打ち倒した。
 まあ実際の所、どうやって3000もの敵を倒せたのかは誰一人、確かなことを覚えていなかった。
 ただ無我夢中で、持てる限りの砲弾を打ち尽くしただけだった。
 
 戦闘終了後の
「マジデ」
 とは、ながみ藩王あらため全てのながみ藩国国民の弁である。
 
/*/
 
 そんなこんなで、ながみ藩国国民は3000もの撃破数を一瞬で稼ぎ、戦車エースとなった。
 わけだが、
 
「これで僕達も、もっと戦闘で活躍できますねー」
「そんなことよりも農業するっぺよ。農業」
 
 能力的には成長したが、その精神はほとんど成長していないらしい。
 頭の中が平和な、ながみ藩国は伊達ではない。
 
/*/
 
 以下、プレイヤー向け注釈その2
 
※9 ノワールの戦い:「[イベント94ノワールの戦い|http://blog.tendice.jp/200706/article_47.html]」のこと。第7ターン、黒オーマとの初戦。ログは以下のページ。
http://blog.tendice.jp/200706/article_63.html(ながみ藩国参加は第1陣)
※10 黄金の角笛:吹くと部隊やACEが召喚できる笛。これでながみ藩国は「白いオーケストラ再び」から「帰る場所を守るための戦い」へ召喚された。
※11 ながみ藩王の痛々しいまでの戦闘開始合図:ながみ藩王が最後の判定中に行ったロールプレイ。評価+2分の痛々しいロールだった。詳細はログ参照。

※7 白いオーケストラの戦場:イベント102「白いオーケストラ再び」のこと。過去にあった儀式魔術白いオーケストラを改変するための白オーマとの決戦。ログは以下のページ。

※8 帰る場所を守るための戦い:イベント103「帰る場所を守る戦い」のこと。アイドレスシーズン1最後のイベントにして戦闘。ログは以下のページ。

(設定文:たんばの)

評価

体格 筋力 耐久力 外見 敏捷 器用 感覚 知識 幸運

特殊

*戦車エースはI=D、戦車、人型戦車、ウォードレス、を扱える。(パイロット行為、コパイロット行為、整備行為、)
*戦車エースは戦車、人型戦車を扱う間、その判定に+3修正を与える。

次のアイドレス

・戦車長(職業)・機関士(職業)・砲手(職業)・無線手(職業)

L:戦車エース = {
 t:名称 = 戦車エース(職業)
 t:要点 = 貴族的軍服,ゴーグル,喉当てマイク
 t:周辺環境 = 戦車
 t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力4,外見2,敏捷2,器用4,感覚3,知識4,幸運3
 t:特殊 = {
  *戦車エースの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
  *戦車エースはI=D、戦車、人型戦車、ウォードレス、を扱える。(パイロット行為、コパイロット行為、整備行為、)
  *戦車エースは戦車、人型戦車を扱う間、その判定に+3修正を与える。
 }
 t:→次のアイドレス = 戦車長(職業),機関士(職業),砲手(職業),無線手(職業)
}

組み合わせ

南国人+学生+戦車兵+戦車エース

高位南国人+学生+戦車兵+戦車エース